図書館が心地よい。

移転オープンして話題になっている、石川県立図書館。百万石ビブリオバウムという愛称も、すこしずつ定着してきた。駐車場が混んでいるらしいとか、人が多いらしいとか理由をつけて、なんとなくミーハー心に対抗して足が遠のいていたが、ようやく訪れた。

え!ここめちゃくちゃいい場所!!(単純)

「喋ってもいい図書館」と聞いていたので、現代的だなぁ、外国みたいなコンセプトだし、わりとガヤガヤしているのかな?とも思っていたけれど、全然静かだった。さすが日本、そして金沢である。しかし、設計の妙でもあるのだろうと感じた。天井が高く、ついつい見上げる構造美。どんなにイライラしていても落ち着かざるを得ないほどリラックス効果のある木の空間。間接照明で彩られたカテゴリーサインは、ふいに手に取りたくなる魅力的なキーワードが並ぶ。どこを見ても目を奪われる。静かで、すばらしい空間である。

道には「東大通り」「西二の通り」などの名前がついており、まるで街の中を歩いているようなウキウキした気分にさせてくれる。この大きなドームがひとつの街だとしたら、わたしたちは住人だ。数百人が住むこの街には、自然豊かな閑静な住宅街の中、知識と閑静、新しい発見にあふれている。なんてすてきな場所だろう。

喋っている人がいないわけではない。しかし、音が吸い込まれていくようだ。響きそうな空間に見えるのに、全く響かない。木と本に、吸い込まれていくのだ。円の孤に沿うように並んだ学習スペースは、ほぼ個室のような快適さ。席に電源もあるし、wifiも使い放題だ。しかも爆速。最高。

一体何席あるのか?何人座れるのか?数えるのも骨が折れるくらい、とにかくそこかしこにたくさん学習席がある。驚くのは、どれだけたくさんの人が座っていても、気にならない造りになっていることだ。完全に見えないわけではない。けれども、不思議と気にならないのだ。逆に、座っていても、後ろを歩く人の気配が気にならない。隣に座っている人の音や気配が気にならない。これは本当に不思議で、そして限りなく快適だ。美しく、静かである。何度もいうが、最高だ。

問題点としては、円形なので迷いがちである。21世紀美術館も慣れるまで苦労した方向音痴としては、ビブリオバウムでも同様だ。見上げれば「東西南北」の大きな垂れ幕が方角を示してくれるが、恥ずかしながらわたしは方角盲だ。北を向いて数秒考えればなんとなくの方角は分かるが、一般の人のように感覚的には方角が分からない。残念な自分にがっかりする。空間認識能力と観察力が、圧倒的に足りていないのだろう。

そんな部分も含めて、設計者ってすごいな~~建築家ってすごいな~~~と唸らされたのでした。毎日でも通いたい、県立図書館。石川県金沢市、なんて良い街だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です